ブルックリンでの銃撃事件 / Let’s get Americanized!

銃社会のアメリカ

ニューヨークの地下鉄車内で起きた銃撃事件では逃走中の容疑者が逮捕されてひと安心です。

2019年から日本に帰国している私にはニューヨークの現状は知人から教えてもらう以外には肌で感じることはできていないのですが、知人はコロナ前とは状況が変わり過ぎて辛いと嘆いています。

アメリカではここ10年で銃の乱射事件が増えている印象です。とはいえ各州で法律が異なり、基本的に個人では銃を所持することが非常に難しいニューヨークでは全米を揺るがすほどの乱射事件は起こっていませんでした。

日本にいるとアメリカにいれば簡単に銃が手に入ると思う方も多いかもしれませんが、ニューヨークやロサンゼルスなどの大都市では銃を所持するのにライセンスが必要なのはもちろんのこと、携帯することにも別の許可が必要なため、外を歩いている人が銃を持っている可能性は一部のギャングメンバーを除いてはほとんどありません。

とはいえ、発砲事件自体は頻繁に起こっており、ほとんどはブラックマーケット(闇市場)で取引された正規ではない銃を所持しているギャング間の抗争なため、流れ弾に当たるようなことは時々報道されていましたが、今回のように無差別テロ並みの事件が起こったことは何かの異変を感じてしまいます。

問題なのは銃ではない

銃をめぐってはアメリカの世論も分断していて、どちらが正しいかは正直なところわかりません。日本のように安全ではなく、いつ強盗が自分の家に入ってくるかもわからないような中西部のアメリカでは憲法で保障されている自分を守る権利というのもわかりますし、銃がなければ短時間でたくさんの犠牲者を出すことは難しいという意見もわかります。

これは核にあてはめてみるととてもわかりやすいのですが、結局のところそれを使用する人間の問題であると思います。民主主義国の持っている核は抑止のためという大義ですが、ロシアや北朝鮮のような国が核をもつと攻撃に使用される可能性があるという意味で銃の問題とよく似ていると感じます。

最終的には、その使用を判断する人間の問題となるのですが、今回ニューヨークでこの問題が起こったということは、プーチン大統領のように正常な判断ができなくなった不安定なメンタリティの人が一般社会に存在していることを表します。そのような人が社会に対してヤケクソになって銃を乱射したりするのですが、銃を規制していても刃物であったり、車で突っ込んだりなど別の形で事件を起こしかねません。

異常な犯罪は社会への警鐘

日本でも電車内で刃物を振りかざす事件が増えてきている印象ですが、こういった事件のあとは、いかにその犯人が異常かということが報じられていつのまにか風化してしまいますが、アメリカにおいても日本においてもそういう人を生み出している歪んだ社会になっているという観点が必要なのではないかと思います。

何かしらが行き過ぎている社会があるため、そこに適応できなかった人が結果的にことを起こしていることに注目して社会のほうを改善しない限りはこのような事件は次から次へと起こり続けます。アメリカの銃乱射事件がなくならないのは社会の歪みが変わっていないからです。

原因として考えられるのは資本主義による過度な競争社会は再生不可能なレベルまでなってしまう脱落者を生み出すという構造の問題、インターネット、SNSの発達によって人と人とのコミュニケーションが減ったことによる行き過ぎた個人主義の風潮などがあります。その現代の中で無差別犯罪をなくすには、犯人がそれをできないようにするのではなく、そういった人間が社会にでてこないようにする必要があります。

今回のニューヨークの事件は、いかに社会が歪んできているかを表す社会からの警鐘であると思っています。日本でも昨年電車内で無差別犯罪が起こりましたが、日本でも社会に適応できていない人がでてきているという警鐘がすでにあります。犯人逮捕だけで問題を解決してしまうとそう遠くない日にまた別の無差別事件が起こってしまうことでしょう。

ロシアのウクライナ侵攻も国家間のバランスが崩れたことが発端です。プーチンは悪者で済ますのではなくなぜそうなったかに目を向けることが大事なのではないでしょうか。

Writer:James
アメリカ在住約10年を経て日本に帰国。アメリカ、イギリスでの豊富な経験をもとに帰国後は多方面で活動。純日本人ながらアメリカの黒人文化に囲まれて過ごすという異例の経験を持つ

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