新庄Big Boss公式戦デビュー / Let’s get Americanized!

新庄Big Boss公式戦初戦1-4でホークスに敗れる

今年はプロ野球が例年よりも楽しくなりそうです。それは何といっても新庄Big Bossが率いる日本ハムファイターズがどうなるか目が離せないからです。3/25(金)2022年の公式戦が開幕しました。仕事をしながらも経過はチェックしておりましたが、なんと8回まで1-0でリードしている快挙でした。残念ながら8回に逆転をされ初戦は落としてしまいましたが開幕投手千賀のホークスを相手に十分すぎる結果であったと感じています。

Unprecedentedに対する向き合い方

新庄Big Bossの采配はこれまでの日本のプロ野球の常識を覆すもので、ドラフト8位ルーキーを開幕投手に、エースクラスの投手を中継ぎに、予告先発している別試合の投手を投入するなど奇策ともとれる采配で独自色を出しています。このように前例がないようなことを英語ではunprecedentedというのですが、日本とアメリカで最も大きく違うと感じることの一つにこのunprecedentedに対する向き合い方があります。

試合後のネット評は賛否両論に分かれていて、否定派に多くみられた内容が、あの場面であの采配はありえないというような内容でした。とくに投手の継投に関して否定的な意見が多かったように思います。確かに結果は1-4で敗れましたが8回まではリードしていて、例年よりも多くの野球ファンがこの試合の結果に注目していたでしょう。

高校まで野球をやっていた私としては、野球はこの場面ではこうするという定石通りの采配が求められることに理解があるつもりです。野球は確率のゲームなので最も確率の高い方法を選択していくということが常に求められます。そのような目線でいくと新庄Big Bossの采配は全くダメなのはよくわかります。しかし、そもそも日本ハムファイターズが新庄Big Bossを監督に選んだということは、総合戦力で劣るファイターズがガチンコの勝負をしても他チームにかなわないので違う効果を期待した結果によるものと思われます。ガチンコの采配野球をするのであれば落合博満氏などもっとふさわしい人選があったからです。

日本のプロ野球の歴史からいうとまずこの人選がunprecedented.です。新庄Big Bossの就任は多くの人に届いたサプライズでもありますが、甲子園の全試合を見るような野球ファンには奇策にしか映らないことでしょう。しかしそのような野球ファンも含めていろいろな角度で楽しめるようになることがジャイアンツ一辺倒からのプロ野球衰退へ歯止めをかける打開策なのではと思います。そう言う意味で日本ハムファイターズという球団は大谷選手の二刀流を確立させるなどunprecedentedに積極的に向き合う姿勢がとてもアメリカを感じさせてくれます。

ビジネスとしてのプロ野球

野球はスポーツではありますがプロ野球はファンあってのもので、そのファンがエンターテイメントに払う対価がビジネスとして成立することで成り立っています。選手、監督は優勝を目指し、個人成績を伸ばすことが使命で、ファンは応援している球団が優勝することを願っています。しかし球団経営はビジネスのため、利益を出すことが使命です。

チームが優勝してファンが増え、利益が上がるというのが最も理想的ですがこの正攻法でのビジネスは継続的な結果を出し続けることはとても難しいものです。企業としては単年で爆発的な利益を出すよりも、継続的に確実な利益を出していくことが求められます。そのためには、多くのテレビファンを獲得するよりも球場に足を運んでくれるファンを多く獲得しなければいけません。プロ野球は興行のためチケット収入とグッズの売り上げの上に成り立っています。極端なところで言えば、どんなに優勝できずに弱小球団でも球場へ足を運んでくれるファンが多く、グッズがたくさん売れる人気球団であれば球団経営として大成功なのです。

そういう意味で新庄Big Bossは球場まで行って彼自身を、彼の采配を、そして彼が指揮するチームを見たいと思わせる魅力がたくさんあります。私は子供の頃はジャイアンツファンで今は特定の球団を応援はしていませんが、今年は新庄Big Bossの試合を見に北海道まで行きたいという思いが湧いています。これは結果的に球団だけではなくホテルや観光業などの周辺の経済までもを活性化させる相乗効果があり、たった一人の人選によって流れをこれだけ変えられるということに驚きもあります。このような側面からすると新庄Big Bossは球団経営、そして地域活性化としては大正解と言わざるを得ないかと思います。

メジャーリーグで進化した可能性

元々私は阪神時代の新庄選手には否定的でした。選手としては好成績を残すわけでもなく、野村監督の元で元祖二刀流に挑戦などありましたが、色物的な側面が強くそれがあまり良い結果を残していなかったためです。メジャー挑戦を表明したときにも、勢い的な要素が強く、結果として野球においてはメジャーでも好成績を残すこともありませんでした。しかし帰国して日本ハムでプレーしだした頃から今の新庄BigBossを見るととてもAmericanizedされているように感じて、それがとても私には好意的に映っています。アメリカの風土、価値観を経験したことで、日本の伝統的な価値観、風習を打ち破っていろいろなことにチャレンジする姿にとても共感できます。私自身もアメリカで過ごしたことにより価値観がアップデートされ、日本では敬遠されるようなことも積極的に行うようになりました。その一つの価値観がNo Risk No Rewardです。

リスクをとることへの考え方

No Risk No Rewardはリスクをとらなければ利益もないという価値観で、アメリカでは当たり前のようなことですが、日本ではリスクをとることはあまりよいこととされていません。これがビジネスにおける決定的な違いを生み出します。リスクはマネージできるものなのでスタートしてから最小限に抑えていくこともできますが、リスクがあるからといってやらないということになるとそもそもスタートができません。このようなリスクをとらないことが日本経済の低迷につながっているのではないかと思います。他国はビジネスにおいても外交においても積極的にリスクを管理しているのに対し、日本は全てにおいてリスクを消すことにプライオリティをおいているように感じます。

日本ハムファイターズはまず、新庄氏を監督とするリスクを選択しました。その結果開幕前だけでも多くの注目度を得ることができました。新庄BigBossは確率による選択というリスク回避戦法ではなく、一見するとギャンブルにも見えなくないような積極的なリスク選択をしています。新庄BigBoss一人によって日本ハムの観客動員数、プロ野球全体の注目度がどう変化するかこれからが楽しみです。

Writer:James
アメリカ在住約10年を経て日本に帰国。アメリカ、イギリスでの豊富な経験をもとに帰国後は多方面で活動。純日本人ながらアメリカの黒人文化に囲まれて過ごすという異例の経験を持つ

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